pediatrics小児科
子どもの予防接種
インフルエンザ生ワクチン フルミストについて
※2024年度のフルミストの受付は、終了いたしました。2024年12月18日現在
ワクチン名 | 経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト®点鼻液)(生ワクチン) |
予防する病気 | インフルエンザ |
対象年齢 | 2歳以上19歳未満 |
接種回数 | 一回の投与のみ |
接種方法 | 専用の接種器具を用いて、左右の鼻腔内に0.1mlずつ、計0.2mlを噴霧 |
標準的な接種スケジュール | 毎年、流行のはじまる前の10月末や11月からワクチン接種を始めるのが望ましい。 遅くとも12月中旬までには接種を終えるように。ただし任意接種となります。 |
備考 |
|
フルミストについて
フルミストは、インフルエンザの予防のため鼻に噴霧するタイプの弱毒生ワクチンです。 ワクチンには、A(H1N1)型、A(H3N2)型、B型(ビクトリア系統)の計3種類のワクチン株が含まれています。不活化インフルエンザHAワクチンと違い、痛みがほとんどありません。米国では2003年から、欧州でも2011年から認可されています。日本においては2023年3月に製造販売承認が得られ、2024/25シーズンからインフルエンザ予防の選択肢の一つとして使用できるようになりました。
フルミストを受けることができない人
- 2歳未満と19歳以上の方
- 重い喘息のある方または喘鳴の症状を呈する方
- 慢性疾患のある方
- 過去にワクチンに含まれている成分(ゼラチン、鶏卵)でアナフィラキシーを起こしたことがある方
- 明らかに免疫機能に異常のある疾患をお持ちの方、免疫抑制をきたす治療を受けている方、職務上・生活上で重度の免疫不全の方と接触される方
- サリチル酸系医薬品(アスピリンなど)、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸など服用している方
- 妊娠していることが明らかな方
フルミストの副反応
弱毒化され病気を起こす力(病原性)はほとんどなく、さらには比較的高温の下気道(気管支・肺)では増殖できないため、重篤な副作用はまず起こりません。鼻粘膜に感染させるため、約半数の方に鼻水、鼻閉などの軽い鼻炎症状がみられます。小児では発熱がみられることもあります。もちろん、不活化インフルエンザワクチン同様、ごくまれにアナフィラキシーショックやギラン・バレー症候群などの重篤な副作用が起きる可能性もあります。副反応による健康被害が生じた場合は、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構の「医薬品副作用被害救済制度」に基づく給付が受けられます。
フルミストの利点
1) 痛みがない
鼻に噴霧するだけなので痛くありません。ただし、大泣きしているお子さんは、ワクチンが鼻から流れ出てしまうため、接種できないこともあります。
2) 全身の免疫に加えて気道粘膜免疫を誘導できます。
インフルエンザウイルスは、気道の粘膜に感染を起こして増殖し、全身に広がります。不活化インフルエンザワクチンでは、血液中にインフルエンザウイルスに対するIgG抗体(免疫物質)が作られることで、インフルエンザウイルスが全身に広がるのを抑えます。このIgG抗体は気道粘膜には存在しませんので、気道への感染そのものを抑えることはできません。つまり、感染そのものを防ぐというよりは、「重症化を防ぐ」作用が主になります。それに対し、経鼻インフルエンザ生ワクチンは、実際に気道(鼻)の粘膜で弱毒化されたウイルスが増殖するため、気道粘膜でインフルエンザウイルスに対するIgA抗体が作られます。このIgA抗体は、インフルエンザウイルスが気道粘膜に感染を起こし増殖しようとすることを抑えますので、感染を阻止することができます。またインフルエンザウィルスの多少の変異に対しても対応することが可能です。
フルミストの欠点
1) 接種を受けることができない人がいる。
2歳未満の子ども、5歳未満で喘息と診断を受けている方、または繰り返す喘鳴(風邪をひくとゼイゼイいいやすい)の既往のある方、1年以内に喘息発作のあった方は接種できません。川崎病などに罹患しアスピリンを服用中の方、免疫が低下している方、中枢神経系の解剖学的バリア破綻がある方、妊婦には接種できません。インフルエンザのハイリスクである慢性疾患のある方(心臓血管疾患、肝臓疾患、腎臓疾患、血液疾患、代謝疾患、発育障害など)への接種には注意が必要です。必ず主治医にご相談ください。
2)ワクチン接種後1〜2週間はワクチンウイルスが周りの人に感染(水平伝播)する可能性がある。
乳児や免疫が低下している方、免疫抑制剤を使用している方との接触を可能な限り避けてください。
3)ワクチン接種後にインフルエンザ迅速抗原検査を行った場合に陽性反応が出る可能性がある。
4)ワクチン接種前後に抗インフルエンザ薬を併用した場合、ワクチンウイルスの増殖が抑制され、ワクチンの効果が減弱される可能性がある。
- タミフル®、リレンザ® → 接種48時間前〜接種後2週間
- ラピアクタ® →接種5日前〜接種後2週間
- ゾフルーザ® →接種17日前〜接種後2週間